介護業界を救うベンチャー企業の存在

慢性的な人手不足などの問題は、見方を変えればビジネスチャンスになります。そのため、介護業界に注目しているベンチャー企業では、ワークシェアリングやクラウドソーシングといった新しい働き方を可能にできるサービスの提供をはじめています。したがって、家事や育児のために、フルタイム勤務が難しい方や、第二の職場を求める定年退職者にとっては朗報だと言えるでしょう。また、「一つの職場でキャリアを積むよりも、色々な場所で経験を積みたい」「たくさんの現場で技術を試したい」といった希望を持つ介護職にとっては魅力的です。

ちなみに、介護業界に進出しているベンチャー企業では、アナログなイメージのあった作業にIT技術を活用することにも積極的です。たとえば、ケアプラン作成のアシスタントを務める人工知能や、利用者の膀胱をモニタリングして、適切な排尿のタイミングを教えてくれるIoT機器を開発し、現場に導入しています。今までの介護サービスは、一人一人の介護職の知識や経験に頼る部分が大きく、サービス内容やケアの質にバラつきが出ていました。しかし、膨大なデータを基に客観的に判断することができる人工知能のサポートがあれば、介護職による能力の差を小さく留めることが可能です。しかも、介護日誌などをタブレット端末で入力できるようにすれば、情報の共有もスムーズになります。したがって、介護職の負担をかなり減らせることになり、人手不足をカバーできるというわけです。

介護系のベンチャー企業は、まだまだそれほど数は多くありませんが、高齢化社会の日本においては需要は徐々に増えていくでしょう。そして、介護業界の進化に好影響をもたらす存在となると思います。